シラーとシラーズって? まとめのお話

オーストラリアについて

Hi Guys!

みなさんこんにちはー

シラー(ズ)のお話後編です。
今回はオーストラリアのおすすめのシラー(ズ)を使ったワインをご紹介します。

オーストラリアのおすすめシラー

とはいえご紹介したいワインは相当数ありますので、触れる程度のワインを5種類ご紹介したいと思います。

  • Rockford Basket Press Shiraz

まずはこのワイナリーです。
SA州Barossa Valleyにある私の推しのワイナリーの一つでもあります。
伝統的なワイン造りにより、よりテロワールに忠実に造られた綺麗なワインが印象的です。

特にこのバスケットプレスを使ったシラーズは、葡萄の凝縮感がありながら、他のバロッサのシラーズにはないしなやかでエレガントな味わいのワインです。

葡萄は140年を超える高樹齢の古木からのもので、バスケットプレス機という、葡萄の種を潰さず繊細にジュースを抽出する機械が使われています。
雑味がなくクリアでエレガントなワインを造り上げています。

10年程度の熟成のワインを飲んだことがありますが、味わいは何層にも重なった黒い果実の波があり、吹き抜ける香りはナツメグのようなスパイシーさを感じ、熟成からくる枯れた落ち葉のようなニュアンスもあり、その複雑さとエレガントさが余韻として口の中で漂っていました。

またBlack Shirazというスパークリングの激レアワインも造ってます。
これは古木からの葡萄のエキスを、継ぎ足しベースワインとで造られる唯一無二のワインです。
これを語り出したら朝になりそうなので、次回機会があればご紹介させてください。

  • Tyrrell’s Hunter Valley Shiraz

オーストラリアといえば、やはりNSW州のHunter Valleyのシラーズも紹介したくなります。

特にこの大御所ワイナリーのティレルズワインズは、同地区で160年以上もワインの栽培と醸造をしており、世界でもファンの多いワイナリーです。

セミヨン100%で造る”Vat1″は特に有名で、オーストラリアワインを語る上で外せない1本でもあります。

さて彼の造り出すシラーズは、熟したイチゴと甘いタバコのような香り。
ほのかな樹脂っぽい香りにクルミの香りが特徴的です。
モダンな造りでミディアムボディでスパイシーでありながら、ジューシーなハンターらしいシラーズです。

  • Castagna Genesis Syrah

Victoria州のBeachworthという場所にこのワイナリーはあります。

私が生産者であるJulianに会いに、このワイナリーを初めて訪れたのは20年くらい前になるでしょうか。
今でこそバイオダイナミックやナチュラルメイクといった言葉をよく耳にしますが、その時代以前からずっとバイオダイナミックで造り続けている家族経営のワイナリーです。

隣には”Giaconda”の畑が広がっており、元々彼もそこで働いていました。

このワインはシラーに情熱を注ぎ、ほんの少しのヴィオニエ(5%)をブレンドした、まさにオーストラリアにおけるコート・ロティスタイルのトップランカーです。

スミレやラベンダーのような小さな花の香りに、フレッシュなカシスやブルーベリーの果実味、少しハーバリーなタイムの香りが感じられます。

野生的なニュアンスに、非常に繊細で上質なタンニン、呼吸をするのももったいなく思う程に、静かに続く長い余韻がとても印象的です。

  • Frankland Estate Isolation Ridge Vineyard Syrah

WA州といえばMargaret Riverが有名ですが、こちらのワイナリーがあるエリアはFrankland Riverです。

州都Perthから内陸方面に車で4時間強の場所にあるエリアで、冷涼で森や谷に囲まれた場所です。

冬から春にかけては谷の影響もあり冷たい空気が入り込みます。
陸から海への空気の流れもある為、一年中安定した環境になるそうです。

ここを最初に訪れたのも、もはや15年以上前かもしれません。

その時に土壌の話や気候の話、生息する植物や動物などの話を聞いてテイスティングしたシラーやリースリングを今での鮮明に覚えております。

さてこのIsolation Ridgeは”コーヒーロック”と言われる酸化鉄の濃い茶色の土壌です。

そこで育った葡萄を低収量で摘みとり使っています。

野生的な赤と黒のベリーの味わいに、小さな青い花、シナモン、胡椒に少し土のニュアンスがあります。
口当たりは軽やかで、完熟した果実味と全房発酵由来の爽やかながら軽く甘いスパイシーさも感じるワインです。

  • Luke Lambert Syrah

今やオーストラリアから世界中を虜にした生産者となったルーク・ランバート。

若くして醸造家になることを心に決めた彼は、ヨーロッパのワイン産地に何度も訪れていたといいます。
そこで出会った「土地について語るような」エレガントなワインに魅了されていきます。

特にイタリアで出会ったネッビオーロ種から生まれる、伝統的なバローロに運命的なものを感じたそうです。

今回は彼のフラッグシップのNebbioloの紹介ではなく、非常にエレガントなSyrahをご紹介します。

VIC州の中でも冷涼な産地Yarra Valleyで作られた彼のシラーは、白胡椒のような風味が特徴的なスタイルです。

極力人の介入を可能な限り減らし、全房発酵で造られています。

熟した黒いベリーや胡椒の香りに、少し野生的なニュアンスがあります。
酸味も程よくあり、旨味もじんわりと感じることのできる非常にエレガントなスタイルです。

クール・クライメイト・シラー(ズ)


シラー(ズ)の話のまとめは、この言葉で締めくくりたいと思います。

世界的なフードシーンが変わっていくように、ワインの味わいの変化も常々起こってます。

20年以上前には、パワフルなワインがより良いワインとされていた時代があります。
その時代の生産者たちは競うように温暖な産地にシラーを植え、熟した葡萄から濃厚なワインを造っていました。


それが昨今さまざまな理由から見方が変わり、「パワフルなワイン」から「エレガントなワイン」へとシフトチェンジしました。

ここで復習になりますが、シラーの特徴の一つとしてスパイシーさがあります。
それは果皮に含まれる成分”ロタンドン”によるものです。
この成分は黒胡椒や一部の花などに含まれており、シラーがスパイシーと表現される要因となります。

ただこのロタンドンは栽培過程で増やすことも減らすことも可能だそうで、気温25度以上だと成分が蓄積されにくいという研究結果があるそうです。
その為20年以上前に一世風靡した、ニューワールドの濃厚シラーは黒胡椒の香りがほとんどなく仕上がってました。

このロタンドンの研究結果もあり、ニューワールドの生産者は刺激され、”クール・クライメイト・シラー(ズ)”という言葉が流行りだしました。

フランスのコート・ロティのような冷涼な地域でのシラー栽培。
オーストラリアでシラーズと言えば、南オーストラリアのBarossa ValleyやMcLaren Valeといった温暖な産地が有名でした。

そういった古き良きオーストラリアのワインスタイルも残しつつ、標高が高い場所や南氷洋からの冷たい海風の影響を受ける場所などにシラーズを栽培する生産者さんも増えてきています。
それがヤラバレーやアデレードヒルズ、オレンジといったこれまで冷涼とされていた場所でのシラーズの新しいスタイルです。

どちらも一つの個性としてこれからもシラー(ズ)を楽しんでいただきたいです。

ワインショップでシラーを見つけた際には、その国や気候など注目してみてください。
きっとそこには時代と共に変化するワインの歴史があるはずです。

それではみなさんの良いワインライフへ

Cheers!








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