Hi Guys!
こんにちはー
今回は世界の食文化の変化や、持続可能なワイン造りなどを踏まえて書かせて頂きます。
ナチュラルワインという言葉の裏にはいろいろと隠された事実があります。
ただ単に味や流行だけではなく、繋がる未来へとの取り組みの一つなのだということです。
そんな新世代編のサイドストーリーです。
世界の食文化の変化
まずは私が常に考えているワインと食文化について書かせてください。
昨今世界では健康的な視点から生活習慣や食文化に変化が起こっています。
日常の中にヨガやピラティスを取り入れながら生活する方や、1日の疲れを癒す為のサウナなどもその一環だと思います。
そんな健康的な視点からだんだんと食文化も変化していき、よりヘルシーに、より軽いものへとシフトしているのが現状です。
濃厚なソースをかけたグリルビーフだったり、濃厚なクリームで煮込んだチキンだったりあまり見かけなくなっている現実が世界には多く見られます。
アジア料理や和食などの技法や材料が、世界のトップシェフの料理に取り入れられているのがその一つの理由かもしれません。
その変化に自ずと合わせる飲み物もシフトチェンジしている傾向にあると私は考えます。
ヴィーガンやナチュラルメイクで造られたワインは健康面でも好まれますが、
食事がより軽くヘルシーになってきているので、合わせるワインも軽いものが好まれることが多くなってきています。
ですのでナチュラルワインが流行っているというよりは、世界的に健康志向になっていきその延長線上に飲み物も変化してきていると私は考えます。
ナチュラルワインとヴィーガンワイン
前回も書かせていただきましたが、ナチュラルワインは枠のないもの、極力人の手を介さずに造られた葡萄本来の味を楽しむものです。
その中にビオディナミがあり、それは太陽や月の運行に合わせて農作業を行うことです。
自然なワイン造りを実現したい、ワインの哲学的な農法ですね。
さらに最近はテクニカルな部分で、清澄や濾過などを行わない生産者さんも多くでてきました。
さて簡単にこの2点の解説も行いましょう。
・清澄とは
ゼラチンや卵白のようにネバネバしたものをワインの中に入れて、不純物がくっつき一緒に落ちていく方法です。
不純物を取り除き、濁りのないワインに仕上げる方法ですね。
・濾過とは
清澄してもなお残っている小さな物質を、フィルターや遠心分離機にかけて取り除く方法です。
さらによりクリアなワインに仕上げる時に使うみたいですね。
昨今ではこれを行わない生産者も最近は増えてきて、無濾過や無清澄などどいう言葉を聞いた事があると思います。
行わないことにより、旨味成分が残りやすく、複雑な風味のワインになると言われています。
勿論ワインに悪影響を与える可能性のある、細やかな固形物が残ってしまっているのでそこに対してのデメリットはあります。
またこれに付随してヴィーガンワインについても軽く触れておきましょう。
ヴィーガンワインの条件には動物性の清澄剤を使わないことが条件の一つにあります。
卵白や動物性のゼラチン、カゼインを使わない、もしくは無清澄であることが大前提です。
勿論植物性のゼラチンやシリカゲルの使用は問題ないので、それを使用している生産者さんも多くいます。
ヴィーガンはすでに食文化の一環になっているので、ヴィーガンワインの項目を作っているレストランやホテルなどのワインリストもよく見かけます。
時代に合わせてワインも変革の時にきているのかもしれないですね。
サスティナブルな取り組み
全てはこの言葉で世界が未来に進んでいっているといっても過言ではないです。
みなさんもSDGsという言葉を聞いたことあるかと思います。
簡単にいえば、人類が今後地球で生活を続けていくために達成しなければいけない掲げた目標です。
Sustainable Development Goalsの略語でして、サスティナブル =持続可能な未来を目指していくプランでありそのゴールが設定されています。
ワインの世界でもその取り組みは多くみられるようになりました。
そちらをいくつか紹介したいと思います。
- 動物たちの力を借りている
馬による耕作や、羊などに雑草を食べてもらうなどよく聞くフレーズもそうですが、最近では益虫の話もよく耳にします。
益虫とは摂食ダニやクモ、スズメバチ、テントウムシなどのことであり、害虫の生息数の管理をするために共存しています。
彼らの住みやすい環境作りにも力を入れています。 - 健康的な土造り
無農薬を徹底し、ビオディナミ農法の実施で畑を守っていくことがまずは大切です。 - 再生可能なエネルギーへと変更
太陽光発電や風力発電へと代替えエネルギーを採用するワイナリーも増えてきています。 - 瓶の軽量化
輸出などで運搬する際に膨大な二酸化炭素が発生しています。
こちらを少しでも減らす取り組みとして、瓶の軽量化を行っている生産者も多くいます。 - 気候変動に適応した品種の採用
ここでもでてくるのが、オルタナティブ品種の採用です。
地球温暖化の影響により、収穫シーズンを早めている産地も世界的にみれば多くあります。
今後の為、暑さや干魃に強い品種を選ぶ必要性がそこにはあります。 - バルクワインへの取り組み
日本では聞き慣れないフレーズだと思います。
これは少し詳しく話させてください。
バルクワインとは
日本にはまだまだ馴染みのない言葉だと思います。
Bulkとは「大量」という意味があり、その名の通り大量の液体の状態のワインが輸送され、消費国でボトリングされるワインのことです。
世界的にはかなり評価されているワインのカテゴリーで、アメリカなどでは世界的な展示会も行われています。
輸送には5000L以上のタンクが使われることがほとんどです。
ワインに換算すると7000本以上になります。
イメージとしては映画でよく観るタンクローリーが一番近いかもしれません。
勿論タンクにもいろいろとサイズがあり、呼び名も異なってきます。
そして何故世界的に注目を集めているか?ということが一番大切になってきます。
それを簡単にまとめてみました↓
- コストの軽減
輸送に関してはコンテナのサイズや面積などで費用が発生します。
ボトルだと少し嵩張ってしまうワインですが、タンクにするよとにより同じコンテナでも積載量が増え、輸送のコストカットができ、販売価格に優位性がでてきます。
勿論高価格帯のワインなどには向いていない、カジュアルワインのための輸送でもあります。 - 環境への配慮
ボトルの軽量化でも書かせてもらいましたが、少なからず輸送にはエネルギーがかかり、その際に二酸化炭素を大量に排出しています。
バルクワインはボトルの重さがないことにより、輸送時に発生する二酸化炭素量を圧倒的に削減できると言われています。
また自国でのボトルの再利用も可能となるので、その2点での世界中の注目度はかなり高まっています。
今回はサイドストーリーとして未来へのワイン業界の取り組みを書かせてもらいました。
これからのワイン文化はどんどん変化していくことだと思います。
美味しい味わいやフルーティーな風味だけではない、みなさんが飲まれているワインには、もっと奥深いストーリーが存在します。
それを知っていくことも、ワインを楽しむ一環だと私は考えます。
勿論それをみなさんにお伝えするのが、私たちソムリエのこれからの仕事の一つなのだと考えています。
今回は少しだけご紹介しましたが、ワインのサイドストーリーのお話はこれからもどんどんさせてもらいます。
まずは皆さんの良いワインライフに
Cheers!
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