Hi Guys!
みなさんこんにちはー
南オーストラリア州の新世代生産者編第2弾です。
今回はまだまだ知られていない産地から、有名だがよくわからない産地までピックアップした産地のお話です。
是非今後のオーストラリアワインライフの参考にしてください。
注目すべき産地〜サブリージョン
まず南オーストラリア州(以下SA州)の州都アデレードの東側にあるアデレードヒルズ やその周辺の注目産地をご紹介させていただきます。
どちらもこれからのSA州のワインを語るのに欠かせない産地です。
ここでまず知ってほしいことがリージョン とサブリージョンです。
ワインのリージョンとは、気候や土壌などの条件によって分けたワインの生産地や地方、地域を指します。
リージョンをさらに細かく分けた小地域をサブリージョンといいます。
同じリージョン内でもサブリージョンが異なると、土壌や気候が異なるため、生産されるワインの味わいに違いが出ることがあります。
そしてまずご紹介するのは注目サブリージョン5つです。
- High Eden
ハイ・イーデンはイーデン・バレーの特に標高の高い500m以上の産地です。
夏が涼しく夜間が一年を通して涼しいため、葡萄の成長期間が長くなります。
フレッシュで自然な酸とフレーバーの凝縮度が高くなり、
ライムやレモンなどの柑橘系果実のフレーバーや白い花の華やかなアロマが特徴的な白ワインになります。
近年では特に注目を集めている産地の一つで、生産者さんなどの話を聞くとこれから参入した産地としてよく語ってくれます。 - Lenswood
アデレードヒルズ の中にあり、ロフティ山脈の上側に位置しており、標高が比較的高く、隣接する他の産地よりも降水量が多いのが特徴です。
少し前から有名生産者さんにも注目を集めていて、冷涼な気候の特性をワインに活かした作り方を行っている産地です。 - Piccadilly Valley
アデレード ヒルズの中の標高450mから600mと高い場所にある産地です。
冷涼なエリアの為、2000年前半にタスマニアと共にスパークリングワインの生産が始まりました。
これでわかる通り、タスマニアと気温・気候ともに似ている冷涼地域で、他国ではドイツのモーゼル地方やシャンパーニュ地方などどほぼ同じ気候の冷涼な産地だそうです。 - Basket Range
こちらもアデレード ヒルズの真ん中あたりにある、丘に完全に囲まれた産地です。
この町は大きなバスケット、つまり「バスケットレンジ」の中に寄り添っているように見えることにより名前がついたそうです。
少し前から私も注目している産地で、現在はBasket range winesやGentle folk、BK winesなどの若い生産者さんが多く住んでいます。
というのも理由がり、元々はこの場所含めアデレード ヒルズ自体が慣行農法が主流でした。
2000年前半に彗星の如く現れた、現オーストラリアナチュラルワイン界のパイオニア アントン・フォン・クロッパー氏(Lucy Margaux)がこのエリアを開拓したのです。
今でこそナチュラルなワイン造りは一般的にはなってきましたが、その時代は反逆者的な扱いをされたそうです。
その彼を慕う生産者さんが集まり、共に酒を酌み交わしながら学んでいる産地なんです。 - Blewitt Springs
この産地の名前を聞くと、また別の生産者の名前が連想されます。
Jaumaのジェームス・アースキン氏は10年以上も前から、心の葡萄と彼がいうグルナッシュやシュナンブランをこの場所で造り続けている生産者さんです。
今度詳しくパイオニアの方々についても書きたいですねーw
この産地は渓谷で標高が高く、降水量が多く、冬は涼しいエリアです。
McLaren Vailは1980年に生産過剰対策として、葡萄の樹が引き抜かれているエリアです。
ただこの産地だけそれを免れて、樹齢の古い葡萄の樹が多く存在しています。
以下詳しくはMcLaren Vailで説明しています。
注目すべき産地
さらに簡単に有名産地などにも触れてみたいと思います。
- River land
このエリアにはマレーダーリングという広い盆地があり、リバーランド(SA州)・マレーダーリング(VIC州)・リヴェリナ(NSW州)という産地がマレー側沿いに広がっています。
オーストラリア国内の約30%、SA州の約60%の生産量を占めている産地で、オーストラリアで最もワインを生産しており、国内の最大の農業地域でもあります。
テーブルワインレベルの日常的なものから、バルクワインなども機械化により進んでいます。
昨今では他の産地の生産者さんがリバーランドの葡萄を買い、比較的リーズナブルなワインを造っているそうです。
可能性を見出したワイナリーなどは自社畑をリバーランドに所有しています。
降水量が少なく、灌漑が不可欠エリアでマレー側からの十分な灌漑水を得られます。 - Langhorne Creek
南大洋とアレクサンドリア湖からの吹き付ける風により穏やかな気候の産地です。
ブレマー川とアンガス川という二つの川がり、そこに灌漑の設備が引かれています。
灌漑は広く行われており、一部ブレマー川の流れを変えて晩冬に意図的に土地を水没させる独特な方法をとっている産地です。
一般的には、この産地のワインは早飲みのタイプが多く、柔らかい味わいが特徴です。
風味は赤いベリー系で、穏やかなミントやチョコレートの香りがする赤ワインが多いです。
カベルネ・ソーヴィニヨンにマルベックをブレンドすることが多く、カシスやダークベリーの風味がたっぷりのジューシーなスタイルのワインが多くあります。 - Clare Valley
SA州のワイン産地の中でも最も北に位置する産地です。
夏は気温が高く、夜は涼しく気温が下がります。
この昼と夜の気温差こそがクレアバレーの特徴であり、特にリースリングはゆっくりとアロマを成長させてクリスプな酸のあるものが造られます。
一般的に白葡萄はより標高の高い日当たりのよい斜面に植えられ、黒葡萄は標高の低い暖かな畑に植えられることが多いです。
雨は冬に多く、葡萄の生育期には少ないとされるエリアです。
その為、灌漑の水源としてのダムが多く建設されています。
有名なサブリージョンだとポーリッシュ・ヒルとウォーターヴェイルという2つのエリアがあります。
ポーリッシュヒルはストレート土壌で土が痩せていて、アロマは控えめで、火打石のようなリースリングになります。
若いうちはニュートラルな印象ですが、熟成すると甘やかな蜂蜜のような香り高いワインになります。
逆にウォーターヴェイルは石灰土壌で栄養があり、よりアロマティックでフローラルな若いうちから楽しめるスタイルのワインが多いです。
- Adelaide Hills
南はフルリオ半島とマクラーレン・ヴェイル、北はバロッサまで広がる大地です。
セントビンセント湾からの海風と、マウントロフティ山脈から降りてくる涼しい風の影響でとても冷涼な気候となります。
おかげで90年代前半までワイン造りは難しいと考えられており、それまでに植えられていた葡萄の樹はほとんど引き抜かれています。
葡萄栽培が戻ってきたのは90年代後半頃、スパークリングワインや軽やかなワインの時代がくると植樹が進みました。
白葡萄が全体の60%と多くを占めている産地で、白ワインも赤ワインもエレガントでよりセイボリーな味わいになります。
スティルワインは高い酸とミディアム程度のボディ、日照のおかげで完熟した有核果実のフレーバーが特徴です。
- McLaren Vale
アデレードの南35kmに位置し、フルリオ半島の北西にある産地です。
産地呼称制度を獲得したのは1997年と最近ですが、葡萄の栽培自体は19世紀の初めから行なっている最も古いエリアの一つです。
20世紀前半までは酒精強化ワインに力を入れていた産地で、第二次世界大戦後にヨーロッパからの移民が多く入国し、辛口の赤ワインやフルボティの完熟したシャルドネやセミヨンなどで盛り上がりました。
西のセントビンセント湾と東のアデレードヒルズに挟まれており、夏は比較的暑くなるのですが、海と丘陵からの冷たい風の影響で気温が和らいでいます。
1980年代に生産過剰対策というのがあり、葡萄の樹の引き抜き作業計画により多くの古木が失われています。
ただ先に説明したBlewitt Springs付近には高樹齢の葡萄の樹が残っており、株仕立てで無灌漑可能なシラーズやグルナッシュの樹が存在します。
粘土ベースの土壌で保水性に優れており、昨今では古木のグルナッシュが特に注目を集めています。
他にもムールベードルやサンジョベーゼ、フィアーノなども多く栽培されているエリアです。
- Barossa Valley
アデレードから北東に車で40分行くと見えてくるバロッサバレー。
西側の丘、標高の高いイーデンやアデレードヒルズに囲まれた産地です。
平地では夏には35℃を超えですが、夜間は比較的涼しめな為、昼と夜との気温差のおかげで凝縮されたフレーバーの葡萄に育ちます。
。。。。。とオーストラリアで言えばそこまで珍しい気候ではないと思いますよねw
ここで一番の特徴をお伝えすると、昔からの厳しい検疫法のおかげで、フィロキセラなどの被害を受けなかった産地です。
世界で最も古い180年以上のシラーズやグルナッシュの樹が存在しています。
降雨量も少なく、灌漑が必要なエリアではありますが、古木は地中深くまで根が伸びていることもあり、無灌漑可能で凝縮された旨みのワインを造り出しています。
独自にBarossa Old Vine Charter(古木憲章)という制度をもうけ、葡萄の樹齢によって畑を区分し、古木を守っていくことを行なっています。
さてここで古木について最後に簡単に説明させていただこうと思います。
古木について
世界の葡萄の樹の平均的な樹齢は20~30年ほどです。
葡萄の木は30年を超えたあたりから、1本の木からなる葡萄の量が減少に転じるからです。
年を重ねるにつれて出来るワインの量がどんどん減っていってしまうので、生産性を考えて30年くらいで葡萄を引き抜いて、新しい若木に植え替えるという事が一般的に行われています。
ただここで考えられているのが、1本の樹から生る葡萄の量が減るということは、その葡萄の木が吸い上げた大地のエネルギーが分散されず、受ける量が一房に対して増えるということです。
より凝縮されたエネルギーの葡萄に育つということです。
また古木ほど、長い時間をかけて根を伸ばして行きますので、地中深くに大きく根を張っています。
オーストラリアで考えた場合、太古からの地層が地面には広がっています。
色々な地層に根が届き、根が吸収した太古のエネルギーをワインが吸収し、より大地をテロワールを感じる味わいの葡萄になると考えられています。
諸説あるとは思いますが、一部の学者さんの考え方を参考にしています。
さて今回はリージョンとエリアについてお話させていただきました。
次はいよいよ今回テイスティングしたワイン達についても触れてみたいと思います。
みなさんのこれからのワインライフがより一層楽しめますように。
Cheers!
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