オールド・ヴァイン──古樹のブドウが生み出す特別な味わい ④これからのワイン文化について

オーストラリアについて

Hi Guys!

急に寒くなってきて、秋服と冬服の衣替えが追いつかない、そんな日々を送っていることかと思います。

さて今回は高樹齢のブドウが造るワインについての記事です。

最近、ワインの世界で注目を集めている分野のひとつが、
「オールド・ヴァイン(Old Vine)」──古樹のブドウから造られるワインです

世界中でさまざまな呼び名があり、

  • 英語では Old Vine(オールド・ヴァイン)
  • フランス語では Vieille Vigne(ヴィエイユ・ヴィーニュ)
  • ドイツ語では Alte Reben(アルテ・レーベン)

いずれも共通して、「高樹齢のブドウの樹から生まれるワイン」を意味します。
明確な定義はありませんが、一般的には樹齢35年以上のブドウが「古樹」とみなされます。

オールド・ヴァインのメリットとデメリット

① 凝縮した果実味と収量の少なさ

ブドウの樹はおよそ20年を過ぎた頃から、実るブドウの量が徐々に減っていきます。
その分、一粒一粒のエネルギーが凝縮され、味わいがより深く、複雑に
これがオールド・ヴァイン特有の、力強くもエレガントな風味を生み出します。

一方で、収穫量が減るため、生産本数は限られ、希少性が高くなる=価格が上がるという面もあります。

② 手作業による丁寧な栽培と高コスト化

樹齢を重ねたブドウは枝も複雑に絡み合い、機械での収穫が難しくなります。
そのため、収穫はすべて手作業で行われ、職人が一粒ずつ丁寧に選果。

ただし、この手間がかかる分、人件費や管理コストが増加し、
結果としてワインの価格にも反映されます。

③ 地中深くまで伸びる根が支える、安定した品質

古い樹ほど根が深く張り、水源にまで届くことがあります。
そのため乾燥した年でも水分を安定して吸い上げ、
気候変動や干ばつに左右されにくい安定した品質を保てるのです。

近年の地球温暖化の影響で、雨が減り、灌漑(かんがい)の負担が増える中、
こうした自然環境に強い古樹の存在が改めて注目されています。

フィロキセラ──古樹を語るうえで欠かせない存在

オールド・ヴァインの歴史を語るうえで避けて通れないのが、
19世紀後半にヨーロッパを襲った害虫「フィロキセラ(ブドウネアブラムシ)」の存在です。

体長わずか2mmほどの小さな昆虫ですが、ブドウの根に寄生し、
一度でも被害を受けると樹が完全に枯れてしまうという恐ろしいもの。

当時、ヨーロッパでは全体の3分の1もの畑が壊滅しました。
この危機を乗り越えるために取られた方法が、
アメリカ系のブドウの台木に、ヨーロッパ系の樹を接ぎ木するという手法。
この仕組みは今も世界中でスタンダードとして使われています。

高樹齢のブドウを守る国と産地

南アフリカ:オールド・ヴァイン・プロジェクト

南アフリカでは「Old Vine Project(オールド・ヴァイン・プロジェクト)」という独自制度を設立。
2018年には「ヘリテージ・ヴァイン・シール」という認証ステッカーが導入されました。

このシールは、樹齢35年以上のブドウから造られたワインであることを証明するもの。
この取り組みをきっかけに、世界のワイン業界では“オールド・ヴァイン”というカテゴリーが確立し、
多くのバイヤーや愛好家の注目を集める存在になりました。

オーストラリア:バロッサ・バレーの古木憲章

オーストラリアの南オーストラリア州、バロッサ・バレーでは、
Barossa Old Vine Charter(古木憲章)」を制定。

これは、古樹を守り継ぐために樹齢ごとにブドウの樹を分類・保護する制度です。
砂地の土壌と厳格な防疫対策のおかげで、
この地は幸運にもフィロキセラの侵入を免れました。

現在では、180年以上のブドウの樹も現存し、
憲章では以下のように分類されています。

  • 35年以上:Old Vine(オールド・ヴァイン)
  • 70年以上:Survivor Vine(サバイバーヴァイン)
  • 100年以上:Centenarian Vine(センテナリアンヴァイン)
  • 125年以上:Ancestor Vine(アンセスター・ヴァイン)

こうして、バロッサの生産者たちは代々受け継がれた古樹を守り、
その土地の個性と歴史をボトルの中に宿しています。

まとめ

オールド・ヴァインのワインは、単なる「古い木のブドウ」ではなく、
土地の記憶と生産者の情熱が詰まった特別な一本です。

収穫量は少なくとも、その一粒一粒に長い時間が育んだエネルギーと個性が凝縮されています。
次にワインを選ぶとき、ラベルに「Old Vine」「Vieille Vigne」「Alte Reben」と書かれていたら、
その背景にある歴史や努力を思い浮かべながら、ゆっくり味わってみてください。

それではみなさんの良いワインライフに!
Cheers!

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